ビタミンとはどんなものかご存知ですか?
体に良いとは知っているけど、具体的にどう良いのか知らない人が多いのではないでしょうか。
ビタミンは全部で13個あります。
そんなにあるの?と思われる方もいるのではないでしょうか。
体内で微量に働く栄養素なため、1日に必要な量も決して多くはありません。
逆に、体に良いからと食べ過ぎると危険なビタミンも存在するのです。
しかし、体内で重要な働きをしており、不足してはいけないのも事実です。
今回はいまさら聞けない、ビタミンにはどんな種類があるのか、どんな働きをするのか徹底的に紹介します。
また、各ビタミンを含む食べ物や、効率的な食べ方も紹介します。
ビタミンとは
ビタミンとは、人の生理機能を正常に維持するための補助的に働く栄養素です。
体内で合成できないビタミンもあります。
そのため食事から積極的に摂ることが重要なのです。
吸収の違いにより、下記の2つに分けられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
まずは脂溶性ビタミンについて説明します。
脂溶性ビタミン
脂溶性ビタミンに分類されるのは以下の4つです。
脂溶性ビタミンは、その名の通り油に溶けやすい特徴があります。
そのため、脂質と一緒に食べることで吸収力が上がり、体内に効率良く取り入れることができるのです。
しかし、脂溶性ビタミンは過剰に摂ると体内に蓄積されてしまいます。
これにより重大な病を引き起こすリスクがあります。
摂りすぎには注意が必要してください。
それでは、それぞれの脂溶性ビタミンの働き、どんな食品に多く含まれるのか見ていきましょう。
また、摂りすぎによる過剰症と、不足による欠乏症も併せて紹介します。
ビタミンD
ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨の健康に関わります。
主に骨を硬くする働きがあります。
ビタミンDはこんな食品に含まれます。
- きのこ類
- 魚
また、ビタミンDは体内で生成することができます。
紫外線を浴びることで生成が促進されるのです。
それでは過剰症と欠乏症を見ていきましょう。
過剰症
- 高カルシウム血症
- 腎障害
高カルシウム血症は、血液中のカルシウム濃度が高くなってしまう状態です。
倦怠感や吐き気、脱水などの症状が起きます。
また、蓄積されたカルシウムは、尿から体内に排出することができないため、腎臓に負担がかかってしまうのです。
欠乏症
- 骨粗鬆症
- 骨軟化症/くる病
骨がスカスカになるとよく言われる骨粗鬆症は有名ではないでしょうか。
骨軟化症とは、ビタミンDの欠乏により骨を硬くする働きが衰えることで、骨が柔らかくなってしまうことです。
骨軟化症は成人が発症するのに対し、子どもで発症する場合を「くる病」と言います。
ビタミンA
ビタミンAは目の健康に関わる栄養素です。
また、細胞の増殖に関する遺伝子の調節を行います。
レチノールが美容に良いと聞いたことはありませんか?
それは、レチノールつまりビタミンAが細胞の増殖に関わることから、新陳代謝が促されると言われているのです。
ビタミンAはこんな食品に含まれます。
- うなぎ
- 卵黄
- レバー
うなぎやレバーはあまり食べる機会がないですよね。
ご安心ください。
『プロビタミンA』というものがあります。
プロビタミンAは、ビタミンAが不足している時、体内でビタミンAに変換することができるのです。
プロビタミンAはこんな食材に含まれています。
- にんじん
- カボチャ
- ほうれん草
身近な緑黄色野菜を食べていれば問題なさそうですね。
それではビタミンAの過剰症と欠乏症を見ていきましょう。
過剰症
- 頭蓋内圧亢進(頭痛・吐き気)
- 胎児の奇形性
ビタミンAを摂りすぎると、頭蓋骨内の圧力が上がり、頭痛や吐き気が現れることがあります。
また、妊婦の方が過剰摂取すると、胎児の奇形性を起こすことがあります。
特にサプリメントによる過剰摂取が多いため、用法・用量を守りましょう。
欠乏症
- 夜盲症
- 胎児の奇形性
ビタミンAが不足すると、目の健康被害が出ることがあります。
こんな経験はありませんか?
暗い部屋で何も見えなかったはずが徐々に見えるようになったり、眩しかったはずが目が慣れて見えるようになったり。
これは目が明るさに合わせて順応することができるからです。
ビタミンAが不足すると明暗への順応不全が起こります。
これが夜盲症です。
また、過剰症で説明した胎児の奇形性はビタミンAが不足しても起こることがあるのです。
ビタミンK
ビタミンKは血液の凝固に関わります。
つまり怪我をしたときの血の止まりやすさに関わるのです。
ビタミンKはこんな食品に含まれます。
- 納豆
- 緑黄色野菜
血液をサラサラにする「ワーファリン」という薬を飲んでいる方は、納豆を食べるなと言われます。
血液サラサラにしたいのに、ビタミンKが豊富な納豆を食べることで薬の効果を弱めてしまうからです。
それではビタミンKの過剰症と欠乏症を見ていきましょう。
過剰症
ビタミンKの摂り過ぎによる健康被害はほとんど報告されていません。
欠乏症
- 出血傾向
- 新生児メレナ
血液凝固に関わるため、ビタミンKが不足していると、怪我をしたときに血が止まりにくくなってしまいます。
事故などで大きな外傷を受けたときには命に関わるため、不足しないようにしましょう。
また、新生児でビタミンKが不足すると、吐血や下血がみられる『新生児メレナ』というものを発症します。
これを防ぐため、新生児にはビタミンK2シロップを3回与えるのです。
お子さんがいらっしゃる方はご存じかもしれませんね。
ビタミンE
ビタミンEは抗酸化作用があります。
脂質の酸化を防ぎ、巷で老化の原因と言われることもある、フリーラジカルの生成を抑えます。
ビタミンEはこんな食品に含まれます。
- ナッツ類
- 油
それではビタミンEの過剰症と欠乏症を見ていきましょう。
過剰症
ビタミンEの過剰症はほとんど報告されていません。
欠乏症
- 溶血性貧血
未熟児では溶血性貧血が見られることがあります。
溶血性貧血とは、赤血球が壊れることによる貧血です。
次に水溶性ビタミンを説明します。
水溶性ビタミン
水溶性ビタミンは以下の9つです。
- ビタミンC
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ビタミンB6
- ビタミンB12
- 葉酸
- ナイアシン
- ビオチン
- パントテン酸
特に、ビタミンC以外の8つはビタミンB群と呼ばれます。
水溶性ビタミンは水に溶けやすく、尿として排出されます。
そのため、危険な過剰症は報告されていません。
また、熱に弱いという特徴もあります。
加熱調理では損失が大きいため、水溶性ビタミンを多く含む野菜や果物は生で食べた方が効率的に摂取することができるでしょう。
加熱が必要な場合は、水に溶けることを防ぐため、茹でるより蒸す方が損失が少なく調理することができます。
それでは、それぞれの水溶性ビタミンの働き、どんな食品に多く含まれるのか見ていきましょう。
また、不足による欠乏症も併せて紹介します。
ビタミンC
ビタミンCはコラーゲンの合成に関わります。
また、抗酸化作用や鉄の吸収にも関わります。
ビタミンCはこんな食品に含まれます。
- 果物(キウイ、レモン、オレンジなど)
- じゃがいも
それではビタミンCの欠乏症を見ていきましょう。
欠乏症
- 壊血病
ビタミンCはコラーゲンの合成に関わるため、不足することで血管の壁がもろくなり、出血しやすくなります。
これが壊血病です。
ビタミンB₁
ビタミンB1は糖質の代謝に関わります。
糖質は主なエネルギー源です。
そのためビタミンB1は、エネルギーを産生するためにとても大切な栄養素なのです。
ビタミンB1はこんな食品に含まれます。
- 豚肉
- 米ぬか
- 胚芽
それではビタミンB1の欠乏症を見ていきましょう。
欠乏症
- 脚気
- ウェルニッケ脳症
上記で説明したように、ビタミンB1は胚芽に多く含まれます。
そのため、日本の精米技術が上がったことで胚芽が除かれ、白米を食べる日本人で脚気が増加しました。
脚気は末梢神経の障害が起こるため、手足のしびれやむくみ、動かしにくさ等が起こります。
ウェルニッケ脳症は、意識障害や歩行困難等の症状が起こります。
特にアルコール依存症の方に見られることが多い症状です。
ビタミンB2
ビタミンB2はエネルギーの産生に関わります。
特に脂質からのエネルギー産生に関わります。
ビタミンB2はこんな食品に含まれます。
- レバー
- 卵黄
- うなぎ
それではビタミンB2の欠乏症を見ていきましょう。
欠乏症
- 口角炎
- 口唇炎
ビタミンB2の欠乏では、口腔内外の皮膚炎が見られます。
ビタミンB6
ビタミンB6はたんぱく質の代謝に関わります。
そのため、たんぱく質の摂取量が増えると、ビタミンB6の必要量も増えるのです。
ビタミンB6はこんな食品に含まれます。
- ピーマン
- 鶏肉
それではビタミンB6の欠乏症を見ていきましょう。
欠乏症
- 食欲不振
- 口内炎
ビタミンB6の欠乏症は、ビタミンB2と同様に口腔内外の皮膚炎が主な症状です。
葉酸
葉酸は核酸の合成に関わります。
葉酸はこんな食品に含まれます。
- ほうれん草
- ブロッコリー
- レバー
葉酸は過剰摂取で神経障害が起こることがあります。
しかし、食事から摂取する分には気にする必要はありません。
サプリメントを過剰に摂るのは危険ですのでやめましょう。
それでは葉酸の欠乏症を見ていきましょう。
欠乏症
- 巨赤芽球性貧血
- 胎児の神経管閉鎖障害
葉酸やビタミンB12の不足により、赤血球が正しく細胞分裂できず、巨大化してしまいます。
この赤血球では正常な働きができないため、貧血状態になります。
これが巨赤芽球性貧血です。
また、妊婦の葉酸欠乏では、胎児の神経管閉鎖障害が起こることがあります。
神経管閉鎖障害では、脳や脊髄の発達に異常が起きてしまうのです。
ビタミンB12
ビタミン12は赤血球の生成や、核酸の合成に関わります。
ビタミンB12はこんな食品に含まれます。
- 牡蠣
- 牛乳
- レバー
ビタミンB12は、植物性食品にはほとんど含まれないのが特徴です。
ベジタリアンの方は不足しているかもしれません。
それではビタミンB12の欠乏症を見ていきましょう。
欠乏症
- 巨赤芽球性貧血(悪性貧血)
- ハンター舌炎
ビタミンB12は胃から分泌される内因子と一緒に吸収されます。
自己免疫が働き、この内因子が分泌されないことで吸収阻害を起こすことがあります。
これによる巨赤芽球性貧血を悪性貧血と呼びます。
ハンター舌炎とは、舌が平たくなり、赤みが出た状態です。
味覚障害や痛みを伴うことがあります。
ナイアシン
ナイアシンはエネルギー産生に関わります。
ナイアシンは、トリプトファンというアミノ酸から合成することができます。
そのため、たんぱく質の摂取量が多いとナイアシンの必要量は減少します。
ナイアシンはこんな食品に含まれます。
- たらこ
- かつお
- まぐろ
それではナイアシンの欠乏症を見ていきましょう。
欠乏症
- ペラグラ
ペラグラとは、皮膚炎、下痢、神経障害などが見られる疾患です。
ビオチン
ビオチンはエネルギー代謝やアレルギー症状の緩和に関わります。
ビオチンはこんな食品に含まれます。
- 卵
- 大豆
- 乳製品
他にも多くの食品に含まれるため、欠乏は稀です。
パントテン酸
パントテン酸は、コエンザイムAという補酵素の構成成分です。
様々な食品に含まれ、体内で合成することもできます。
不足することはほとんどありません。
まとめ
今回はビタミンの働き、多く含まれる食品、過剰症、欠乏症、効果的な食べ方を紹介しました。
今回のまとめはコチラ。
せっかく食べるなら効率よく吸収してほしいですよね。
調理方法で吸収率や、損失が変わるので、是非これだけ覚えていってください。
また、健康のために一生懸命摂っていたら、逆に健康被害が出てしまっては大変です。
正しく理解して、食事から健康な体を作っていきましょう。